人は都合の悪い現実からは目を背けたがる。回避可能で解決できそうであれば、直視しようという気も起きるのだろうが、どうあがいても回避不可能な現実は考えたくもない。いくら悩んでも解決策はないのだから当然ではある。自分や家族の死はその最たるものだろう。災害に遭っても自分は生き残れると何の根拠もなく考える。自分の周りにはコロナはこない、きても自分は死なない、死ぬはずはないと考えてしまう。しかし、現実は甘くはない。予測してなかった厳しい現実に直面した時、ただ呆然とするのみになる。時に自分に都合の悪い事実は無視したり、フェイクニュースだと言って取り合わないこともある。あるいは自分を安心させるための材料はないかと探し回り、いろいろ都合の良い解釈をする。時にそれは事実の隠蔽・粉飾・改竄となる。大戦後期の大本営発表などその最たるものだ。
経済成長これしかないと言って誕生した安倍政権は、今年の初めに「景気は回復傾向であり、いざなみ景気を上回る戦後最長の景気拡大期を達成した」と業績をアピールしていた。しかし先月末にそれは訂正された。実は2018年の10月には拡大期は終了していたそうだ。つまり経済成長を目指していた安倍政権は、既に2年前には公約を果たせなくなっていたのだ。おそらく今年中に安倍首相は退陣するだろう。その言い訳として想定外のコロナ禍による景気後退を挙げると思われるが、それは事実の歪曲になることを予め指摘しておく。
さて、安倍首相はコロナ危機にどう対処するのだろうか?野党は臨時国会召集を訴えている。しかし、安倍首相は夏休みをとっているそうだ。総議員の1/4以上の要求があれば内閣は国会を召集せねばならない、と憲法に明記されているにも拘わらずだ。多分、首相は厳しい現実をみたくはないんだろう。分科会に丸投げして自分は蚊帳の外に逃げていたいんだろうな。彼に、現実を直視し敢然と立ち向かう逞しさはなさそうだ。
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