何でもないこと3

 認知症の両親がまだ実家にいた時の話。被害妄想からヘルパーを自宅に入れず、ご飯を炊く以外の料理ができなくなっていたため、週に2回ほど私が総菜を届けていた。大体昼過ぎの同じ時間帯に実家に立ち寄り午後3時過ぎくらいには帰路についていた。帰り道のバス停でダウン症の女性をよく見かけた。20歳過ぎくらいと思われる。知的障害のため車は運転できないのだろう。若い女性など利用しない乗車率がゼロに近い田舎の路線バスを待っていた。バス停の標識の土台に座り込んで、隠すようにしてスマホをいじっていた。本当にみているのかどうか疑わしいほど顔を近づけ盛んに指を上下させる。何をみているのだろうか?好きな芸能人でもいるのだろうか?それともファッション?いつも田舎では目立ちすぎるカラフルな服装をしているから、ファッションかな?次はどんな服を買おうか、ネットでチェックしているのだろう。近くの就業支援施設からの帰り、バスが来るまでスマホをいじるのが彼女のルーティンになっているのだろう。 

ある時、そのバス停近くの森林組合に用事があった。用事を済ませバス停の対面に止めた車に向かっていたところ。その女性がいた。いつもの格好でルーティンをこなしていた。バスがきた。乗客は乗っていない。高齢の運転手さんだけのよう。それを見て女性は顔を上げ立ち上がり、勢いよすぎるくらい手を振った。運転手さんはそれに応えるように、小さく手を振っていた。彼女がニコッと微笑んだように見えた。それだけの話。

写真はスレイマニアアからの帰り。ダム湖でおやじ3人のランチ。

シャクゲバ

シャクゲバ=尺八を吹くゲバラ。この世の中を生き抜くには、この姿が必要と思いこの名前にした。日々感じることなどつづっていく予定。

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