ユダヤ民族はトラウマをもっている。ゆえに自身の存在を脅かすものに対し過剰に反応する。パレスチナ人の女性や子供の命がいくら失われようと、ハマスを殲滅するためにガザ全土への攻撃を緩めることはない。それは大戦中に無差別爆撃や原爆投下を行ったアメリカの正義以上のものだ。イスラエルの場合はハマスを絶滅させなければ収まらない。たとえ一般のパレスチナ人を苦しめることになろうとも、民族のトラウマゆえにユダヤの生存権を脅かした相手の存在を認めるわけにはいかないのだ。悲しい歴史の中で受け継がれてきた民族のトラウマには同情するが、そのようなイスラエルのパレスチナに対する過剰な応報を認めるわけにはいかない。イスラエルの過剰な防衛施策は、確実にパレスチナ人にトラウマを植え付けている。ユダヤ民族のトラウマがパレスチナ人のトラウマを生み出し連鎖していっているのだ。それを看過することはできない。
イスラエル建国を契機に、1948年のナクバの悲劇を経験したパレスチナ人は難民となり苦難を受け続けている。1993年のオスロ合意により2国間共存の道が示されたが、それは反故にされた。イスラエルにすればパレスチナ側に問題があったというのだろうが、イスラエルは入植活動を続けることでパレスチナ自治区をなきものにした。行政拘束を続けパレスチナ人の人権を軽視した。パレスチナの村に入り一方的な破壊を続けてきた。私は2000年から2002年にかけてその現場を見てきた。イスラエルの過剰な自己防衛をアメリカは問題にすることはなかった。ユダヤ人のトラウマには同情を示す一方、パレスチナの生存権は軽視し馬鹿にし続けてきたのだ。イスラエル建国以降すでに70年余りパレスチナ人は苦難の歴史を味わっている。ユダヤ民族と同様、支配され圧迫され排除されるパレスチナの苦難はすでに三世代にわたっている。今回の攻撃でさらに次の世代にもトラウマは植え付けられるだろう。そのトラウマはどこに向かう?イスラエルはわかっているはずだ。パレスチナ人をすべて抹殺すれば大丈夫とでも考えているのか?憎しみの連鎖、トラウマの連鎖は断ち切らなければならない。
写真は2002年のジェニン。子供たちが掲げているのは自爆テロを行なった彼らのヒーローだ。彼らはもう30歳代。聖戦(ジハード)を続けているだろう。彼らの子供たちも・・・。
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