スエコザサ

天才肌の主人公だけではなく、周囲で生きた名もなき者に光を当て意味を与える。それが今回の朝ドラは秀逸だった。最終回のスエコザサは言うまでもない。

史実では、牧野植物図鑑は壽恵子さんが亡くなって10年余りしてからの完成だ。最終回で万太郎が壽恵子さんに図鑑を見せるのは全くのフィクションなのだが、浪費家で破廉恥でもあった牧野富太郎に尽くし続けた壽恵子さんに「あなたが貢ぎ続けたのは決して無駄なことではなかった。歴史に残る誇るべき成果があった」と、脚本家は壽恵子さんに言ってあげたかったのだろう。だから壽恵子さんが存命中には発刊できていなかった図鑑を手に取らせ、巻末には壽恵子さんの名前を冠したスエコザサを色鮮やかに描いて見せたのだ。万太郎の愛だけでなく、脚本家の愛を感じた。

壽恵子さんという存在を私は知らなかった。知っていた人でも、多くの人は牧野富太郎の妻という認識でしかなかっただろう。名前だけしか知られていない壽恵子さんという存在に光を当て、称え、ご苦労様と言ってあげるには、史実からは逸脱する演出が必要だったのだ。

シャクゲバ

シャクゲバ=尺八を吹くゲバラ。この世の中を生き抜くには、この姿が必要と思いこの名前にした。日々感じることなどつづっていく予定。

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