ハラミちゃん

先日TVをボーっと見ているとハラミちゃんを取り上げているバラエティー番組があった。彼女の演奏は聞いたことがある。絶対音感があり即座に耳コピができアドリブでアレンジできる才能はうらやましい。リズミックで楽しく演奏しており、それゆえ彼女は受けているのだろう。しかし素人の私からしても演奏は粗雑であり、同程度のピアニストはたくさんいて彼女が特別だとは感じてはいなかった。そのバラエティーでは、彼女がなぜ今の活動に至ったか紹介されていた。彼女は幼いころからピアノを習い、先生からはクラッシックのみ演奏するよう指導されていたとのこと。けどそれは楽しくなく、学校では友人からのリクエストで様々なポップスを演奏することで鬱憤をはらしていたそうだ。そして音楽大学に進学したのだが、初めての授業で先生に「あなたはプロのピアニストにはなれない」と宣告されたそうだ。そうだろうなと思う。クラッシクでプロとなるには、彼女の演奏は繊細さに欠ける（しらんけど）。音楽大学で彼女は周囲の才能あふれる演奏家を目の当たりにして、プロになることはあきらめ一般会社に就職した。しかし、好きなピアノを演奏できないことでストレスがたまり気を病みすぐに退職しひきこもり状態になったとのこと。挫折を味わい、「私は何のために生きているのだろう」と疑問に感じたのだろう。その鬱の気分を紛らわせようと、たまたまストリートピアノを弾いたところ、楽しく高揚しYouTubeでもバズリ、自分の生きる道を見出した。音を楽しむ演奏は決して間違ってはいないのだと確信をもて、”志事”を始めることができたわけだ。

その番組では、ファンの幼い姉妹の家庭に彼女がお邪魔し一緒に連弾を行う企画だった。幼い姉妹は目の前で楽しそうに演奏するハラミちゃんに大喜びしていた。感激の涙さえ流していた。その姿を見てハラミちゃんも泣いていた。ピアノという私事で身を立てることができず挫折し、一旦は生きるための仕事に就いたがピアノを忘れることはできず道を見失った。仕事を離れもう一度ピアノに触れた時、自分がすべき志事を見いだした。そしてそれが、次の世代に音楽の楽しさを伝えられる使事になったと彼女は実感した。