今回のロシアのウクライナ侵攻で、エネルギーと食料危機が惹起され世界中で物価は高騰している。中東では主食であるパンの値段が上昇し、貧困層には厳しい状況だ。飢えと貧困と紛争が生じない世界を構築しなければ民主主義は確立できない。しかし、世界の現状をみると、温暖化や格差是正にも何ら有効な手立てをうてていない人類の先行きは暗い。
世界の指導者たちは、とくに先進諸国の首脳たちは貧困・格差是正・温暖化阻止に向けて一致協力していかねばならないのだが、皆さん利己的だ。アメリカファーストと言ってたトランプ前大統領に象徴されよう。アフリカなどの飢餓と貧困に見向きもせず、温暖化は陰謀論だと否定し積極的には関与しない。自国の経済がうまくいくことが第一で、それに邪魔になる問題は無視・否定し、それが民意を得ていた。民意で非合理的権威が選ばれ皆服従した。今回のロシアの暴挙にも、手を差しのべず放置していた先進国の利己的政策が遠因として指摘されている。自国の豊かさを追求するばかりで他国の悲惨な現状を無視し、自国経済が潤うよう搾取しながら一方で自助努力を求めるような国が尊敬されるはずがない。分断は加速するばかりだ。それをごまかすために貧困国家の特権階級におこぼれを与え、その非民主的勢力の強権的政治をサポートすることで先進国はしばしの安定を得る。しかし、その貧困国家の国民は先進国を妬みこそすれ尊敬はしない。いずれ貧困国の国民はその民意でもって、自国の強権勢力あるいは先進諸国の利己的世界に牙をむくだろう。プーチンだけの問題ではない。今後アフリカや南米・南アジアで同様の事態が顕在化していく。いや、歴史は既にそのような事態の繰り返しである。先進諸国がそれを直視することなく反省していないだけである。
この先、気候変動による水と食糧供給の不安定化が生じ、先進技術に不可欠なレアメタルなどの鉱物資源の枯渇も生じる。人類はその争奪戦に明け暮れることだろう。それを避けるためには、合理的権威により世界がコントロールされねばならないのだが、それは夢物語である。
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