朝ドラでの棗黍之丞の名ゼリフ「暗闇でしか見えぬものがある、暗闇でしか聴こえぬ歌がある」。暗闇を恐れ遠ざけたくなるのは仕方のないことだ。しかし全く否定してしまえば、見えぬものは見えぬままで、聞こえぬものは聞こえぬまま。かといって、ドップリ闇に浸たりきるのは危険だ。闇の世界に染まりきってもいけない。どこまで闇に近づくか、どれだけ闇にシンパシーをもつか、その加減は難しい。
一つだけ言える。闇を理解しようという姿勢なしに、否定し、拒否し、馬鹿にし、裁き、排除するのみでは、この世の中の真理を見落としてしまう。それは光に包まれていると思いながらも、実は何も見えない闇の中に自ら引き籠るようなものだ。自身の正義に囚われ闇を理解しようとしない人は、オルテガのいう無知の知者であろう。
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