尊厳死?

ALS患者に対する嘱託殺人の疑いで二人の医師が逮捕された。ALSの方は強く死を望んでいたようだ。建築士の資格をアメリカでとったキャリアウーマンだったそうで、若くして不自由になった自分に絶望しか感じられなかったのかな。辛かったのだろう。元気な時に人生を活力的に謳歌していた人ほど、その頃とは隔絶した現状を受け入れることは難しい。年老いた父親しか身内がおらず、屈辱を感じることなく安心して自分の介護を委ねられるサービスを受けられていなかったのだろうか?悲しいことだが、自ら死を望むことも理解はできる。そんな彼女にすれば、自分に死をもたらしてくれるならどんな人間でもよかったのだろう。命の尊厳さをトクトクと説かれたり、家族の涙等で時間が過ぎることはいやで、とっとと自分の命を絶ってくれさえすればよかったのかなと想像する。

それにしても最低の医者たちだ。請け負った医師二人には「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術 ー誰も教えなかった、病院での枯らし方ー」という共著があるようだ。その他ネットに流れている情報からは、どうやらこの二人の医師は医者の資質さえ疑われるブルシットドクターだったようだ。多額の金銭を受け取り、主治医でもなく短時間の一回のみの面会で犯行に至ったことなどから判断して、彼らの歪んだ正義を実現するための自己満足的幼稚な犯行だと思う。この点で相模原の障碍者施設で19名の命を奪った植松死刑囚と同じだ。この医師の行為は、結果的には患者さんの希望をくみ取ったものだろうが、患者さんの人権を尊重し決行したものではない。人の存在の尊厳さを理解せず患者をもの扱いし、自己本意の動機から機械的に死をもたらしただけだ。尊厳死というより、金銭をもらった自殺ほう助という殺人である。

今回のような患者さんが死を選択することを私は否定できない。積極的に肯定することもできないのだが、絶対に認めないとも言えない。死んではいけないと彼女に言うことは私の自己満足かもしれないからだ。何が正解かわからない。正解はないと思う。しかしこのような金銭目的の自殺ほう助は許してはならない。だから尊厳死が是か非かといった大上段の議論をするよりも、少なくともALS患者が絶望してしまわないように、必要なら死の選択肢も含んだ医療・介護・支援体制を確立すべきだろう。

シャクゲバ

シャクゲバ=尺八を吹くゲバラ。この世の中を生き抜くには、この姿が必要と思いこの名前にした。日々感じることなどつづっていく予定。

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