強圧的態度

先に書いたスポーツ界での重鎮の方々に共通して見られる強圧的態度は、政治の世界ではどこかの大統領やどこかの首相らに顕著にみられる。近年はそんな指導者ばかりで、流行り病のようだ。振り返ると、かくいう医者である私も同じような態度をとることがある。反省しきりだ。

他医でリウマチの治療を始めた活動性慢性肝炎の患者がいる。肝炎の治療をせず、リウマチに対して免疫抑制剤の服用を始めたのだ。その患者は20年ほど前に肝炎に対しインターフェロン治療をうけたが、副作用が強く途中で断念。肝炎ウイルスは消えないまま残った状態だった。まだ70代であり肝炎治療は20年前から格段に進歩しているため、5年ほど前から度々再度の治療を勧めていた。肝機能障害が悪化しはじめた1年ほど前からはさらにしつこく治療の必要性を説明し、リウマチ症状が出てきた今年の春以降も、肝炎が自己免疫性疾患の原因になっている可能性があるため、肝炎治療を勧めていたのだが受け入れることはなかった。その患者がリウマチ専門を標榜する他医(整形外科医)を自身で受診し、初期のリウマチと診断され免疫抑制剤を開始した。肝炎患者に禁忌の薬ではなくリウマチの治療としては誤った選択ではないのだが、肝炎ウイルスがさらに活性化される可能性がある。下手すると劇症肝炎を生じたり、一気にウイルスが活性化され肝がんが発症する可能性が高まる。リウマチ症状はまだ強くはなかったため、まずは肝炎の治療を優先すべきであり、患者は医学的には誤った選択をした。その過ちを、トクトクとクドクドと患者に説明した。たぶん、言うことを聞かない患者に対する強圧的な説教をする医者の口調であったろう。

長年医者をして尊大になってしまった。そんな態度がここのところ増えている。加齢とともに我慢ができなくなっているのかもしれない。尊大にならず、初心を忘れず謙虚にならねば。

シャクゲバ

シャクゲバ=尺八を吹くゲバラ。この世の中を生き抜くには、この姿が必要と思いこの名前にした。日々感じることなどつづっていく予定。

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