吉野川橋

Kさんはお仕事。私はお休み。Kさんにアクアパッツァを作ってあげようと買い物の帰り、吉野川河口の河川敷でぼーっとしていた。風はそれほどきつくなかったが寒かった。
20年ほど前、先日亡くなった私の兄はこの橋をチャリンコでウロウロしていた。「風が強くてたまんなかったよ」と苦笑していた。
高卒後に父を憎んで家出して、東京でフリーターをしていたが、約20年後にお酒で体を壊して実家に帰って来た。その数ヵ月後、市内に安アパートを借りて生活を立て直そうとしていた。自動車免許をとれと父親にもらった数十万円も持っていた。彼はまだ40歳前だった。うまくはいかなかった。彼はお酒とパチンコにお金を費やし、数ヵ月後には再び、彼に苦痛を与えた父親の元に帰っていった。それから社会復帰することはできなかった。
もしもタイムマシーンがあるのなら、20年前の彼の元に行きたい。まだ40歳前の彼に会い、これが最後のチャンスなんだと言い聞かせたい。風のなか自転車を漕いでいる彼に言いたい。
負けるな。向かい風に負けるな。倒れるな。泣き言いうな。笑って自転車をこぎ続けろ。母さんも叔母さんも俺も洋も、笑ってお前と話したいんだ。頑張ってくれ。

シャクゲバ

シャクゲバ=尺八を吹くゲバラ。この世の中を生き抜くには、この姿が必要と思いこの名前にした。日々感じることなどつづっていく予定。

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