昨年9月の医療の本質で、私の医者として看取りの場でいたらなかったことを書くと述べながら書いていない。先日、再びやっちまった。それを書く。
看取りと云うわけではないのだが、娘さん二人が大事にケアしている喘息と慢性呼吸不全で衰弱しつつある96女才性。最近、併設のホームに看取りも視野に入所した。私は入所されてからまだ診察していなかったのだが、先日急に呼ばれて行ったところ、娘さんが二人ついているところで「苦しい、苦しい、何とかして」と興奮状態だった。呼気延長著明で、左肺には無気肺あり。私はBiPAP導入することを簡単に本人・娘さんに説明し、すぐさま診療所に収容しBiPAPを装着した。それにより、患者の呼吸は落ち着き、その晩は鎮静剤を使用しながら呼吸苦なく眠れていた。その状態を娘さんたちはずっとみていた。この処置は医学的には不味くはないと思っているのだが、患者さんと家族には不本意な処置だったようだ。患者本人がその処置をされたことが不満でそれを娘さんに訴えた。よってその翌日娘さんが外来に来て話の場がもたれたのだが、私の説明は輪をかけて不味いものになった。それについて次に述べる。
写真はこの患者に装着した同系統のBiPAP陽圧換気マスク。高流量の空気を送り込むことで気道内圧を上昇させ、気道狭窄に伴う呼吸困難が解消される仕組みだ。意識を落とす必要はなく会話もできる。ただし気道内部まで高流量を保つために、マスクは口鼻周囲に圧着されるように工夫されており、人によっては圧迫感を感じることがある。この患者は、呼吸苦は直ちに和らいだのだが圧迫感ゆえに苦痛を感じた。
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