スケープゴート

責任の所在が不明な場合、損害を被った人はその怒りのやり場にこまる。医療事故においてはその矛先は医療スタッフや医療機関に向かう。もちろん医者の見落としや看護師の誤った処置などの過失があれば、医療機関側に賠償責任が発生する。時に金儲け優先だとか自己保身のための隠ぺい工作などもみられ、そのような悪質な医療事故を除いて基本的には医療機関側に損害を与える”意志”はなかった過失とみなされる。自由意思に基づいたものでないからその責任は軽減され、与えられる罰は損失を受けた人にすれば不十分なものになる。被った損失に見合った”応報”が課せられない被害者は不満だろう。怒りをもって、何か間違いがあったはずだと医療機関を訴える。それでも被害者が満足した応報が得られることはまれだろう。先の男性は応報を求めてビルのオーナーや施工主を訴えるかもしれない。8日の報道で地盤に打ち込む杭に問題があったという報道があった。そうであれば違法建築としていくらかは男性の怒りに見合う応報がなされる可能性はある。しかし津波後の原発事故同様、”想定外の事故”として処理される可能性もある。仮にそれなりの処罰が施工主にされたとしても亡くなった方は生き返らない。彼の怒り・悲しみは解消されることはない。それは彼も重々承知している。だから苦しい。

”祝祭”としてのスケープゴートがあれば、納得できないまでもいくらか留飲を下げることができる。

シャクゲバ

シャクゲバ=尺八を吹くゲバラ。この世の中を生き抜くには、この姿が必要と思いこの名前にした。日々感じることなどつづっていく予定。

0コメント

  • 1000 / 1000